導入事例

Case

船井ファストシステムを
導入いただいている企業様へのインタビュー

顧客情報を一元管理し、施行件数が1年半で1.5倍に!毎月の休暇取得日数も2倍になり、社員の働きやすさと業績アップを実現した事例

公開日:2022年06月21日
About 有限会社辰若 様

有限会社辰若は創業90年以上の葬儀社で、厚生労働省認定の1級葬祭ディレクターが数多く在籍している。地域のお客様から一番愛される葬儀社をモットーにお客様に合った葬儀プランを提供し、横須賀を中心に葉山町・逗子市・鎌倉市・横浜市など幅広いエリアで30,000件以上の葬儀実績を誇る。顧客情報の一元管理を行うため2019年7月よりkintoneを採用。今回は専務取締役の達 宏之氏に詳しくお話を伺った。

kintone導入前の課題、導入を決めた理由を教えてください

達様

元々、顧客情報の管理をExcelで行っていたのですが、色々な実績数を見るためにExcelの改修を行った結果、5シートくらいに増えてしまって入力が大変になっていました。
また、過去情報を検索するときも5シート全てを検索にかけないと見たいデータが見つからない点に課題を感じており、どうにか一元管理できないかと思った時に船井総研からkintoneを薦められ導入しました。

インタビュアー

ありがとうございます。導入前のデータ検索にはどのくらい時間がかかっていたのでしょうか?

達様

お客様本人のデータだけでなく、親族などの情報も探すとなると10〜15分は最低でもかかっていました。そうなるとお客様への対応も遅くなってしまいますので、業務効率化と併せて顧客満足度向上のためにも導入を決めたという感じです。

インタビュアー

顧客管理の一元化のために導入を決められたとのことですが、導入してすぐにその成果が得られたのでしょうか?

達様

いえ…顧客管理のみでスタートすればよかったのですが、せっかく導入するのだからと全ての業務をkintoneでやりたい!と思いカスタマイズからスタートしてしまって、なかなか成果を得ることができませんでした。
例えば、商品の発注状況やお客様への提供サービスの内容、あとは電話対応内容の把握など細かいところまで・・・しかしボリュームが多く全てがkintoneで行うことがいいかというとそうではないときもありましたので、kintoneで行う業務、そうではない業務を分けて実装していくところに時間をかけてしまいました。

インタビュアー

ありがとうございます。kintoneで行う・行わない業務を分けるという部分について、その判断というのはかなり難しいと思うのですが、どのようにご判断されたか教えていただけますでしょうか。

達様

まず、顧客にまつわる情報の一元管理をメインに進めることを目標としました。
弊社はカイクラも導入しているのですが、お客様からお電話があった際にkintoneに入力している情報がパソコン画面にポップアップされるようにしています。ですので、電話対応に必要な情報はkintoneに入力するようにしています。また、営業ベースのやり取りに関してはChatworkを利用しています。
業績管理や販売計画の立案、反響管理なども顧客情報に紐づくものなので、kintoneで管理するのに向いている業務だなと思いますね。その他はトライ&エラーで進めています。

顧客管理アプリの画面。顧客の基本情報を集約している。

インタビュアー

様々なツールを適材適所で活用されていて素晴らしいですね。

kintone導入後に効果が大きかった点を教えてください。

達様

先ほどExcelで顧客情報を管理していたとお話しましたが、実は契約書や見積書、お客様の要望内容は紙ベースで管理しており、その書類をまとめたファイルがどこに置いてあるかをExcelで管理していました。
1990年1月の葬儀の書類はこの棚にある。というのを入力して置くという感じです。棚に行って見ると、1990年1月は20件の葬儀をやっていたので、20ファイルある。この中からお客様の書類を見つける。という感じでしたので、かなり時間がかかってしまい、お客様にストレスを与えてしまっていたと思います。

しかしkintoneを導入したことで、ファイルがある場所に行かなくても情報が見れるので、探す手間はもちろん、お客様の自宅で営業をしている時でもデータが見れるようになりました。今までだとお客様の質問に対して分からない内容は持ち帰る、と終わらせていた内容も、kintoneを見ることですぐ確認し、前回の対応内容や要望から提案できる点は大きく変わりました。

顧客管理の接点履歴タブ内の画面。他アプリの情報も表示されるため、このアプリを見れば顧客に関する情報を全て確認することができる。
達様

また、あらかじめ決まった用紙に記入していたわけではなく、白紙の用紙にスタッフが手書きで書いていたので、スタッフによって記入する内容や順番が違ったり、文字が読みづらかったりする点も探しづらい要因だったのですが、kintoneではあらかじめ用意している項目に情報を入力するので、検索しやすいです。
また、手書きで書いたあと、ファイルに閉じてファイル棚に保管するという手間がかかりますが、kintoneに記入するだけで済み効率良くなりましたね。


検索窓の画面。検索すると一致する条件のレコード一覧が表示される。
達様

過去情報については30年分くらいあるのでkintoneで全ての情報を管理できるようにはまだ出来ていないのですが、kintone導入タイミングと同じ時期に出店した店舗では出店当初からのデータがある状態なので、販売計画やエリア毎の集計などが出来ており見たい数値が簡単に取れて分かりやすくなりましたし、棺などの在庫管理も見積書から個数を把握して正の字を書くというアナログな管理をしていましたが、kintoneでは集計値がすぐに出て把握できる点がすごく楽になりました。

エリア別会員数のグラフ。

インタビュアー

ありがとうございます。kintoneを導入して、業務のオペレーションを今までと変えた部分などございますか?

達様

そうですね、弊社は今まで一世帯一担当制でずっと行っていたのですが、少しずつ分業するようになりました。
以前は搬送後、受注〜施行〜アフターフォローまで1人の担当が行うオペレーションだったのですが、今は受注スタッフと施行スタッフが変わるということも増えてきました。
そういった際にkintoneが顧客情報の引き継ぎとして活かされています。
情報を引き継ぐ際に、担当者同士で個人間で引き継いでしまって、回りのスタッフは分からずサポートができない状態になってしまったり、管理側もどうなっているか把握できず管理しきれないということがよくあります。
また、もし担当者が急な事故や病気、家族に何かあったなどで休まなければいけない時もありますよね。
そういった際にkintoneがあれば誰でも情報を見ることができるので、会社全体でフォローアップしてお客様に迷惑をかけずに満足していただけるサービスを提供することができるようになりました。

最近ではお客様が葬儀代を支払うために急に来店されることがあります。急に来店されてもいくらいただけばいいのか、何の料理なのか分からなかったり、弊社としてもアフターフォローを行っていく上でのヒアリングを行わせていただきたいので、基本的には来店予約をしていただいているのですが、それでも近くに寄ったからという理由などで急に来店されることもあります。
その際に、担当者が不在でもkintoneに入力された情報を見て、お支払いに対応することができますし、アフターフォローのヒアリングもその時にさせていただくことができるので、別途時間をいただかなくてもよくなり、顧客対応力が向上していると思いますね。

アフターアプリの画面。施行情報が自動反映されるため、引き継ぎがスムーズにおこなうことができる。

インタビュアー

オペレーションを変えたことで実績や働き方などに変化はありましたか?

達様

はい。実は施行件数が1年半で1.5倍になりましたが、施行スタッフの人数はkintone導入前とほぼ変わらない人数で、休みも取得しながら業務を回すことができています。これも情報の引き継ぎがしっかりできているから実現できていると思います。

私が毎年の経営方針発表会、お客様は神様という考え方もありますが、お客様や会社が優先されスタッフが犠牲になるというのもおかしい話なので、人であるスタッフ、お客様、そして雇用する会社、その3つが極力同等になるような仕組みや経過を考えるべきだということを言っています。
お客様のために苦労して素晴らしいサービスを実現させるということは大事ですが、自分を犠牲にしてまでやるべきことではないと思っていたので、まずスタッフの休暇を増やすことを目標として取り組んで行きました。

以前は月4〜5日だった休暇を6日に切り替えたのが2、3年前でした。
有給もあったのですが、自分が受注した葬儀は自分で必ず最後まで行うというスタッフが多かったので、旅行や病気などではない限り出勤をするスタイルでしたが、スタッフが増えると休みを重視する人もいます。
そこで、社労士の先生から取得休暇日数のルールを聞き、それに則って休暇日数を増やしていくことにしました。

しかしスタッフ1人あたり月2日休暇が増えると1日の所得労働時間7.5時間×2日=15時間分は業務の効率を上げないと回りません。
分単位で顧客対応や業務をどうやったら遂行できるか考えないといけないと思い、kintoneを使って業務効率化に繋がる施策をどんどんやっていったという感じです。

この施策の成果が出てきたので、昨年は月の休暇を8日にしようと思い、まずは試運転としてスタッフの有給が残っていたので、有給を利用してもらって月8日休んでもらいましたが、スタートした当初は上手くいきませんでした。なぜ上手く行かなかったかを振り返って考えてみると「引継ぎ」が上手くいっていないということでしたが、その「引継ぎ」が上手く行っていない理由は、ツールに原因があるのではなく、スタッフの仕事・業務に対する考え方にありました。
仕事に出たいと思っている意欲的なスタッフの中には、自分のほうが質が高いサービスを提供できると思っていたり、自分がやるのにわざわざ引き継ぐ必要はないと考えていたりするスタッフも少なからずいました。
ですので、「もしあなたが明日いきなり大きな怪我や病気になって、手術をしなければいけなくなり、1ヶ月間お休みをするとなると大切なお客様を他のスタッフに任せなければいけないよね。そういうときに何も情報が残っていなかったら結局はお客様に迷惑をかけてしまうことになるよね?」という話を数ヶ月に渡りスタッフに伝え、この考え方を浸透させていきました。
この考えにスタッフも納得してくれてしっかりと引継ぎを行ってくれるようになり、今では月8日の休暇を取得してもらっても、業務が回るようになっています。

インタビュアー

目的やマインドを社内で共有することで業務改善が上手くいき、月の休暇も増え素晴らしい成果が出ていますね!
他にもkintoneを使って取り組んでいることがあれば教えて欲しいのですが。

達様

ありがとうございます。
最近の取り組みでは、人事評価をkintoneで出せるようにしたことですかね。
以前は評価のためのデータや情報が様々な媒体に拡散していたので、評価をするためにはまずは拡散していたデータをまとめるという作業が必要で、そこから一本化して計算していたので、半月ぐらいかかっていました。
しかし今は業務に関する情報をkintoneで入力すると同時に、自動的に評価に必要な情報・データのうち8割ぐらいは連動して出るようになっているので、評価するために時間をかけなくても良くなりました。

評価のデータはkrewDashboardを導入して図を使って見やすくしています。

krewDashboardの画面。複数アプリのデータをまとめてグラフ化することができる。
インタビュアー

数値はリアルタイムで見れる形でしょうか?

達様

そうです。
リアルタイムで見れますし、業務の引き継ぎを行うようにしてからは、3日後の葬儀を受注した人がその日に休暇だったら施行スタッフは誰にする、という采配をするようにしているのですが、この誰にするかを選ぶときに必要になるのが施行回数です。
弊社の評価基準に「施行回数」があるので、施行回数が少ないと、評価が下がってしまいます。ですので、施行回数が少ないスタッフの出勤日であれば、そのスタッフに施行をお願いするようにしています。
全員平等に業務機会を采配するようにできるようになったのは、kintoneだからこそだと思いますね。

インタビュアー

kintoneを使って業務調整も行っているんですね!御社のお話を聞いていると、「引継ぎ・情報共有」がかなり上手くされていると感じました。
引き継ぎしやすい情報にするためにお客様からヒアリングする際に意識していることはありますか?

達様

そうですね、受注担当は実際にお客様からヒアリングしているので、お客様の気持ちも分かった上で受注したということが分かるのですが、その情報を施行で利用する際に商品名や数量など事務的な記入方法だと伝わらない部分が出てきます。
そういった細かい部分もしっかりサービスに落とし込めるようにお客様にヒアリングした項目をしっかりと入力してもらうようにしていますね。

事前相談アプリの画面。ヒアリング内容を細かく記載している。
インタビュアー

詳細な情報の引き継ぎが顧客満足度向上に繋がっているのですね。

kintoneと各ツールの連携や使い分けについて詳しく教えてください

インタビュアー

御社では、kintoneの他にChatwork、カイクラ、krewDashboardを導入されていると思いますが、それぞれどのように利用されているのか、また使い分けを教えていただけますか?まずはChatworkとkintoneからお願いします。

達様

kintoneは経営戦略に利用し、スタッフ内でのコミュニケーションにはChatworkを利用するという形で使い分けています。
やはり手元のスマートフォンで簡単に情報が見れる部分に関してはChatworkが優秀ですし、タスク管理機能もついているので、タスクに対しての対応経過も見れるのですぐ対応が必要な業務についてはChatworkがメインになります。
例えば事前相談の場合はChatworkをメインで利用しています。先ほどお話したように、事前相談の際には簡単に情報を見れるということが重要になりますので、相談があったかという履歴のみkintoneに入力し、詳細の相談内容はChatworkで共有しています。スマートフォンでの操作の場合、Chatworkのほうが検索など1クリックでできますのでお客様をお待たせせずに迅速な対応ができるようになります。

他にも、見積書や祭壇画像などの添付ファイルも多く扱うため、kintoneで管理する際にデータ容量を超えてしまう問題がありました。しかしこの点もChatworkを有料化し全社導入することで解決され、さらには画像も簡単に送信できる状態にしています。
kintoneは細かく管理するという点が優秀ですが、簡易的に入力・検索できる点はChatworkのほうが優秀ですね。

補足:Chatworkとは?https://go.chatwork.com/ja/
Chatwork(チャットワーク)はメール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にする国内利用者数No.1 の中小企業向けビジネスチャットです。
Chatwork公式サイトより参考

事前相談の画面。相談者・対象者情報と相談経路などを入力している。
インタビュアー

包括的な今後に引継ぐような大事な顧客情報はkintoneに、直近の営業フェーズで必要な細かい部分はChatworkを使い分けながら行うという感じですね。

達様

そうですね。スタッフもこの時はこのツールを見る、というのが感覚で分かるようになるので慣れが必要かなと思います。

インタビュアー

ありがとうございます。先ほどカイクラも利用されているとのお話でしたが、カイクラとの連携についても詳しく教えていただけますか。

達様

カイクラはコンタクトセンターでの利用がメインになります。着信があるとパソコン上に電話をかけてきてくださったお客様の情報が表示され、どなたからのお電話なのか電話に出る前から分かります。また、私自身「お客様のストレスをどう減らすか」という部分を追及しているので、お客様から同じことを何度もヒアリングすると「さっきも言ったのに」というクレームにつながります。kintoneと連携することで情報が表示され、こちらからの確認作業だけで済むのでクレームも減り、満足度向上に繋がっているかなと思います。

補足:カイクラとは?https://kaiwa.cloud/
株式会社シンカが提供する「電話業務効率化ツール」で、電話応対におけるトラブルやクレームを無くし、従業員の生産性や顧客満足度を向上させることができます。
「kintone登録項目」と「カイクラの項目」とを紐づけ設定することで、kintone登録情報をカイクラ上に表示できます。
カイクラ公式サイトより参考

達様

またこのケースはよくあると思うのですが、こちらからお電話しお客様が出れずに折り返しをいただいた際に、その時かけた担当者が誰なのか、何の要件だったのか分からず、電話したのは誰かという犯人捜しみたいになっていました。
それを対処するために、kintoneとカイクラ、そしてChatworkを上手く利用しています。「架電不出」というグループチャットを作成し「○○さんに電話したのだけど出なかったので何かあったら私のところに連絡ください」という情報を共有することによって、折り返しのお電話がかかってきた際にパソコン上に情報が表示され、担当者に回すのか、コンタクトセンターで対応するのか分かるためスムーズな対応ができるようになりました。

インタビュアー

ありがとうございます。また、krewDashboardについても詳しく教えていただけますか。

達様

そうですね、経営に必要な数値が簡単に見えるようになったので、自分がいない営業会議でも足りない部分がどこだ、みたいな話ができるようになっています。
また、数年前から事前相談や仮会員登録に力を入れているのですが、スタッフはなぜそれに力を入れているのか目的までか理解できていないような感じでした。しかし、事前相談件数に対して施行件数がkintone上で見れるので、施策に対しての理解が深まっていると思います。

Krewとは?https://krew.mescius.jp/
kintoneの特長はそのままに、脱Excelを可能にする3つの高機能プラグイン。
kintoneの一覧をExcelのような使い心地にするkrewSheet。アプリ間の集計が自由自在なkrewData。多彩なチャートとピボットテーブルでデータを可視化するkrewDashboardで脱Excelをめざすkintoneユーザーを強力に支援します。
Krew公式サイトより参考

krewDashboardのサンプル画面
インタビュアー

数値は全員が見れる状態なのでしょうか?’

達様

はい、弊社はスタッフ全員が数値を見れるようにしています。公開することで自分と他のスタッフとの違いが明確になるので、自分ではすごく頑張ってると思っていても数値で見たら実はそうではなかったり、短期的に見ると良いけど長期的に見るとそうではなかったりと、自分の状態が見えるので自己研鑽に繋がるかなと思います。
良い部分だけではなく、色々なポイントを見れることができることはkintoneの良さですね。当然、グラフや一覧などを作らないといけないという苦労はあるのですが、作りさえすれば社内共有ツールとしては非常に便利ですね。

最後に、今からデジタル化を進めようとしている企業様に向けてメッセージをよろしくお願いします!

達様

まずは早く導入するに越したことは無いかなと思います。弊社もまだ1年分くらいの情報しかないため、利用できるものが限られています。早めに導入することで蓄積されるデータも増えるので、デジタル化をしたいと思った時に導入するのがいいと思います。

また、最初にお伝えしたように最初から完璧を求めないことですね。使いながらツールをアップデートするのがおすすめです。
そしてkintoneを管理するスタッフを最低限1人でも管理者として立てるべきかなと思います。全員で意見交換することは大切ですが、管理者が主体となって進めることでスムーズな導入ができると思います。
管理者には業務フローが分かるのは当然ですが、業務全体の判断ができる役職者を選定するという点もポイントですね。目的がしっかりぶれずに定められるスタッフでないと、kintoneもやっているうちに訳が分からなくなってしまう可能性があります。なので目的をある程度見据えてその目的からずれない考えができて、それに必要な情報も自分で仕入れられる人がやらないと難しいかなと思います。弊社は適切なスタッフがいたので良かったかなと思っています。