導入事例

Case

船井ファストシステムを
導入いただいている企業様へのインタビュー

kintoneで情報の一元管理と業務進捗管理を行い、売上129%・一人当たりの生産性137%アップを実現した事例

公開日:2023年05月22日
About 司法書士法人 行政書士法人 第一事務所 様

1982年開業の事務所。不動産・会社の登記関係をはじめ、相続関係、債務整理、外国人の在留資格申請など幅広い業務を取り扱っている。今回お話を伺う行政書士法人部門では、提携企業からの紹介案件などを含め年間450件以上の案件を業務受任しており、提携強化や膨大な案件の処理体制の整備を中心的に推進している。分業化に伴い2020年9月よりkintoneを導入。今回は行政書士法人部門長の杉山 亮介氏に詳しくお話を伺った。

司法書士法人 行政書士法人
第一事務所

行政書士法人部門長
杉山 亮介 様

kintone導入前の課題、導入を決めた理由を教えてください

杉山様

元々は紙やExcelでデータ管理を行っていたのですが、経営数値の把握に時間がかかる部分がネックになっていました。また、案件数が拡大していくにも関わらずマネジメントに十分な情報が得られない点も課題に感じており、システムを導入しなければいけないと想いました。
そこで、まずは外部のコールセンターとの情報のやり取りで別システムを導入したのですが、カスタマイズなどがかなり難しく、正直ほとんど自社仕様に変更できないレベルで、これはあまりにもハードルが高すぎると感じていました。
そんなときに他部門でkintoneを導入するという話があり触ってみたところ、少なくともカスタマイズは今までより簡単にできそうだったので、これならいけると思い導入を決めました。

インタビュアー

実際に導入されて、カスタマイズは簡単にできましたか?

杉山様

船井総研さんが提供しているパッケージをベースにカスタマイズしたので、ハードルは高くないと感じましたね。また、私だけでなく職員が率先して調べてくれて進めたこともあるので、仕組みさえ分かれば誰でもカスタマイズできるシステムだと思います。

kintone導入時に行った取り組みを教えてください

杉山様

まずは第一段階として、全体的な部分のカスタマイズを行っています。事務所仕様にkintoneを変更しないといけない部分があったので、その部分を所内で作業したり船井総研さんと打ち合わせをして少しずつカスタマイズを行いました。
その次に、自部門の業務をシステムに落とし込むにあたり、業務を全て分解・形式化して型に当てはめていく形で業務の棚卸を行いました。
棚卸した内容に合うようにkintoneをカスタマイズしていきました。その後は入力のマニュアルを作成し社内浸透を進めました。弊所では同じ案件に複数の所員が関わるため、1つの案件に対してkintoneを入力する人数も多くなりますので入力ルールの作成も行いました。

インタビュアー

ありがとうございます。業務の棚卸はお時間がかかる部分になるかと思いますが、どれくらいの期間で行われましたか?

杉山様

実は、業務の棚卸に関してはkintoneを導入する前から行っていたんです。きっかけは生産性を上げるためには、資格者と補助者が行う業務を分けて分業化をしていく必要性を感じたからです。
また、弊所ではパートの方もいらっしゃるのですが職種の特性上退職率が高く、人材の入れ替わりが多く教育する所員の負担も大きくなってしまうという課題がありました。この課題を解決するために、業務を1つ1つ分解して細かくしたんです。こうすることで、新しく入社された方がどの業務を経験していて任せてもいいか、次に何を教えればよいかが分かりやすくなりました。

そういった元々行っていた業務の棚卸をした部分をkintone導入にあたり再度精査しkintoneに落とし込んでいきました。形はできていたので1〜2週間くらいで、私と補助者1名に手伝ってもらいながら進めていきました。

業務の棚卸表
kintoneの業務マスタアプリのレコード詳細画面
業務の棚卸内容をkintoneの業務マスタに落とし込み、商品ごとの業務フローを管理している

kintone導入後、社内浸透させるために行った取り組みを教えてください

杉山様

先ほどお伝えしたマニュアル作成やルール作り、実際に導入する前には1~2回勉強会を開いて周知もしていました。
しかし、Excelでの管理に比べると使い慣れていないということもあり、間違いなく難しいという印象を所員は持ちます。そうなると入力が面倒だな、と思う方も当然出てきますし、入力が煩雑になることもあります。なので定期的にチャットでリマインドをしたり、最初の頃は「ここは入力が漏れやすい部分なので気を付けましょう」という注意喚起もしたりしていました。

案件管理アプリのレコード入力画面
ラベルフィールドも利用して入力ルールを記載している

インタビュアー

当初は反発もありましたか?

杉山様

正直少し反発はありました。今でも多分あると思います。
しかし、事務所の規模的にスプレッドシートで管理することにも限界を感じていたので、これまでのやり方を維持することは少し事故が起こる可能性が高いのでそもそも戻れないということを周知し、より良くするためにはどうすればいいかをヒアリングし、改善できる部分は改善を行い、「提案すれば、改善してもらえるんだ」という認識を持ってもらい、できるだけ全員が納得する形で導入は進めました。

またシステムを利用する背景も共有しました。
自分自身の進捗を管理するだけであれば、kintoneに必ずしも入力する必要はないと思います。全員で業務をするからこそシステムが必要になるわけです。
何のために情報を一元化しているのか、色々な人がそれを同時に共有することにどういったいきがあるのか、なおかつ色々な人が関わる中で何かが漏れる事になると、その進捗を管理している担当者が困ります。あるいは情報の共有コストが、本来ちゃんと入力されていれば0で済んだものが2や3になってコストかかってしまうので、「皆で見るために利用をしている」ということと「入力が漏れることによって自分以外の誰かが大変になってしまう可能性がある」ということも伝えています。

入力の浸透に関しては永遠の課題でもあります。
正直今でも入力漏れはありますし、使い方が変わったり新たに入力項目が増えたりすることもあると思います。入力の漏れが無いようにという意味では、ある程度導入から時間が経ってもきちんと意識して周知する事は継続するべきだとは思います。

kintoneをカスタマイズする上で意識している点を教えてください

杉山様

大前提として、業務に合わせてシステムをカスタマイズするのは大事ですが、システムに業務を合わせることも大事だと思っています。

カスタマイズする上では、どこまで形式化するかということは意識しています。商品ごとに5個の業務フローを作るのか、10個の業務フローを作るのか、そういう話ですね。
kintone上に示されている各業務を1個ずつ順番にやっていけば、何も考えなくても勝手に案件が全部終わるというのが理想としてはありますが、全ての商品に対してそれを細かく考えるには時間もかかるので、単純に今ある商品パッケージごとの業務を分類して、そこから若干はみ出るものについては都度イレギュラー対応をしていく形にしました。

あとは、そもそもkintoneのメイン機能はデータベースで、進捗管理に使うのは少し派生的な使い方のような気がしています。そこに情報を入れていくということがメインで、プラスアルファで進捗の管理とかもできると捉えていたので、進捗管理も完璧にできればいいですが、難しい部分があるというのが現実です。なのでそこは諦めも肝心かなと思っています。

kintoneを導入してどのような効果がありましたか?

杉山様

相談ルートごとの反響数や受任数など、マーケティングの情報をリアルタイムで管理することができるようになりました。

反響管理アプリのKPI集計表の画面
kintoneに入れたデータで自動集計が可能になっている
杉山様

さらにkintoneのデータをスプレッドシートにBizteX Connectを利用して書き出し、請求データと突き合わせることで、年間予算の進捗状況や昨年対比での売上の把握ができるようになり経営データに活かし、売上129%アップを実現しています。

GoogleAnalyticsの画面
kintoneのデータと、別システムで管理している請求データを突合し、全体・部門ごとの年間予算の進捗状況などが把握できる

BizteX Connectとは 〈https://service.biztex.co.jp/connect/
BizteX Connectは様々なサービスをGUI上から簡単に連携ができ、プログラミングの知識不要で業務効率化を実現できるiPaaSです
〈BizteX Connect公式サイトより引用〉


インタビュアー

分業化も進められたということですが、分業化にあたってkintoneを導入してよかった点などはありますか?

杉山様

受電時の情報は補助者、面談情報は資格者、受任情報は資格者と補助者、それ以降の業務処理は全員で対応しているのですが、それらの情報の「引継ぎ」といった業務を削減することができたり、担当者以外が最低限の問い合わせにも対応できたりした点は良かったですね。
補助者に業務を依頼する際もkintoneに最低限データはあるので、それを見ながら説明できますし、直接話せないときでもチャットで「kintoneを見てください」と伝えるだけで完結することもできます。
データがテキスト化されているので、電話で伝えるより認識の齟齬がなく伝えることができるなと感じています。

反響管理アプリのレコード詳細画面
情報が全て可視化されるので情報共有の時間削減につながっている
杉山様

またクラウドのシステムなので、どこでも見れる点もいいですね。会社の方針として資格者、主に面談を行う所員に関してはリモートワークを推奨しているので直行直帰など含め場所や時間に捉われない働き方ができています。

あとはバックオフィス業務の働き方も変わりました。
パートの方は勤務時間が決まっているため、今日は忙しいから残業するというわけにはいきませんので元々残業が多くなることは無いのですが、正社員で事務を担当されている方は自分の業務が残っていると時間をかけてでもその日中にやらないといけないという気分になり、どんどん残業が増えていってしまった時期がありました。
今では昨年や一昨年に比べて、案件数が増えたにも関わらず残業は減ったと感じています。
その要因として、やはりコミュニケーションロスがなくなったということが大きいですね。

案件管理アプリで表示している業務の進捗状況
案件の各業務の担当者・進捗・完了予定日などがkintoneを見れば分かるため情報共有コストの削減につながっている

インタビュアー

今までは何か仕事をお願いするにもやはりお願いしづらく、あの人は忙しいのではないかということで声をかけにくいことがあったと思いますが、kintoneを見れば担当者別の案件数や進捗状況も分かるので依頼がしやすくなったと思います。


案件管理アプリの担当者別案件数のグラフ
件数だけではなく、抱えている案件の種別の可視化もできる

杉山様

また、業務のやり方や担当者をしっかり決めて登録することにより、パートの方がやる業務、資格者がやる業務、と明確になり、その後同じ案件が発生した際にも基本はその職種の方がやるというルールができます。そのルールに沿って仕事を配分していくわけなので、例えば1人の人間が事務処理などの手を動かさないといけない仕事を過度に抱えてしまっている状況は起きにくくなり、業務の分散が出来ていると思います。

マネジメントの観点から見ても、誰が案件数が多いのか、特定の種類の業務に忙殺されているのかという点を具体的に可視化し改善につなげることができています。
その結果情報共有の精度が上がり処理件数が増え、一人当たりの生産性も137%アップしました。

反響管理アプリの面談担当別件数推移のグラフ
数値を元として課題を抽出し、クリティカルな改善施策を打つことが可能になっている

今後、kintoneで実現したいことを教えてください

杉山様

この2~3年で顧客データベースは獲得することができて、円滑に業務を処理できるようにはなったのですが、kintoneを活用し更なる業務効率化は図っていきたいと思います。
また、今後は売り上げを作っていくためにはどういう仕組みを作ればいいかというマーケティングに繋がるためのデータベースの活用を行っていきたいと考えています。

最後に、今からデジタル・DX化を進めようとしている企業様に向けてメッセージをお願いします!

杉山様

DX化というと難しく捉えがちですが、実際は難しいことは無いです。
最初はたしかに慣れなくて残業が発生し大変なときもありましたが、結果として労働環境も良くなっています。やらない理由がないと言いますか、やるデメリットがないですね。

また導入のハードルを感じる部分というのは、論理的な理由というよりは、新しいことをやるのは大変だと感じるところだと思います。しかしやれば慣れますので、あまり深く考えずにやってみるというのが一番おすすめです。
こういうものは完璧にしようと思うと絶対にうまくいかないので、完璧にしてからスタートしようと思うと絶対スタートを切れないのでまずは気軽に始めて、ハードルが高いと思ってる部分があれば、低いところからせめて行くのもいいと思います。

kintoneの導入コストは比較的安く、ランニングコストを含めて割と手が出しやすいと思いますので、気軽に少し触ってみるところからやってみてはいかがでしょうか。