導入事例

Case

船井ファストシステムを
導入いただいている企業様へのインタビュー

部署・業務ごとにバラバラだった情報をkintoneに集約し、リアルタイム経営を実現。売上昨対127%を達成した事例

公開日:2023年12月06日
About 株式会社高知ハウス 様

株式会社高知ハウスは、平成8年設立で高知県高知市の賃貸アパート・マンション紹介・管理業務を行っている。”街”と”ひと”のつながり創造カンパニーとして、高知県内No.1の賃貸管理実績を持つ。一気通貫した業務管理システムの構築を目指し、2021年よりkintoneを導入。今回は経営企画室の新谷洋二氏にお話を伺った。

kintone導入前の課題、導入を決めた理由を教えてください

新谷様

kintone導入前は基幹システムをメインで使用していたのですが、業務の幅が広く、基幹システムだけでは対応できない部分に関しては各部署、各業務ごとに様々なアプリやシステムを導入してそれぞれ運用をしていました。しかしアプリやシステム間の情報連携が取れておらず、情報共有にタイムラグや不備が生じていました。

その課題を解決するためにスプレッドシートを作成して情報共有を行っていたのですが、システムとスプレッドシートの両方にデータを登録する必要があるうえに、情報共有の方法が部署によっても様々だったため、情報の転記作業が発生したり情報の分散や重複、共有の漏れが多数発生していました。

例えば、情報を持っている部署が一部署であったとしても、情報を共有してほしい部署が複数部署になると、部署ごとに「この部署はチャットで報告」「この部署はフォームで報告」などと、やり方がバラバラでした。部署の担当者に共有方法を電話で確認するなんてこともありましたね。社内でのコミュニケーションの面でも課題を感じていたので新たなシステムの導入検討を始めました。

インタビュアー

kintoneに決めた理由や決め手を教えてください。

新谷様

当社の課題は、基幹システムだけでは情報共有や情報の集約ができないというところでしたので、まずはお客様情報・オーナー様情報・物件情報を一つに集約して、全員が閲覧できる状態にしたいと考えていました。他のシステムも検討する中で、データを入力する入口をきちんと整えて開発すれば情報を入力するための工数を減らすことができると思い、簡単にカスタマイズができるkintoneであれば、船井総研さんのkintoneをベースに自社でカスタマイズを進められると思いました。

また、全員が情報を閲覧できる状態を実現することも重要視していたので、アカウントのコストも比較的低く、全員にアカウントを付与できるという点もkintoneを選択した理由の一つです。

kintone導入時に行った取り組みを教えてください

新谷様

正直導入当初は社内で反発がありました。船井さんに協力していただきながら、全体会議で導入に至るまでの経緯を伝えたり、蓄積された情報を全員で共有することの重要さや価値を勉強する機会を設けました。自分たちだけが情報が分かればいいというだけではなく、会社全体として情報を見ることや共有するために、担当者として部分最適ではなく全体最適を考えるようになりました。全員に入力を進めてもらうためには、なにより分かりやすさが重要です。

また導入を進めるためのきっかけとして、KPIをkintone上で集計するようにしました。
そもそも入力がされなければ達成率など予実管理の集計がうまく行かないので、入力しないといけないという状況を作り、kintoneへの入力が進めば進むほど集計の手間がなくなるようにしました。毎週社長とともにKPIの数値をチェックしていますが、今ではほぼ入力漏れもなくなりました。

社員からの要望や改善点については「改善フォーム」を作り、社員から出てきた改善点をまとめて、なるべく早く対応できるようにしています。

※改善フォームからの回答例。課題の詳細や背景をもとに、解決策や対応内容を検討している。
インタビュアー

改善フォームでいただいた要望の中での実現可否や導入可否の判断はどのようにされているのでしょうか?

新谷様

そうですね。全体にメリットになるものは優先順位をあげて改善をするようにしていますが、基本的に入力方法や運用方法を変えることで改善できるような属人的な要望については「もう少し具体的に考えて下さい」とお伝えしたうえで、話し合いをしています。カスタマイズ自体はできると思うものでも、その人にしか分からない使い方をされる可能性があるような要望は、特に注意するようにしています。

なるべく実現はしてあげたいとは思うのですが、kintoneの仕様上、実現ができないのに「同じレコードを同時編集したい」といったような要望が何回も来たりすることもありますね。

インタビュアー

要望を集約する仕組みも整っているのですね。基幹システムとkintoneの使い分けはどのようにされているのでしょうか?

新谷様

基幹システムでは契約書の作成や家賃の入出金管理を行っています。それ以外のお客様情報、オーナー様情報、物件情報に加えて入居者様のトラブル管理、リフォーム、退去清算などの顧客管理はkintoneで行っています。

※実際に利用しているkintoneのお知らせ掲示板。アプリへのショートカットに活用している。

kintoneを導入して良かったことを教えてください

新谷様

まず入居者様に対しては、リマインド機能を使ってアラートが来るように設定をしたことで、トラブル対応のスピード改善や対応漏れがなくなりました。お部屋のリフォームに対しても、退去からお部屋の完成までのスピードが上がりましたし、導入前までは月末にならないと確認ができなかった売上情報もリアルタイムで確認できるようになりました。

さらに今では工事の発注もkintoneで行っているので、お客様が退去した部屋の工事進捗が確認できるようになり、リフォームの部署以外の社員もどの部屋でどんな工事がされているのかリアルタイムで確認できるようになったことで、募集条件の確認がリアルタイムで行えるようになりました。情報共有ができるようになったことで、分業体制も整いました。

※発注・入金管理アプリの一覧。部屋ごとの工事分類や工事内容をすぐに確認することができる。
インタビュアー

利用されている連携システムを教えてください。

新谷様

連携システムはじぶんページとレポトンです。後はRPAやクラウドPBXを使っています。

じぶんページは工事会社様との情報のやりとりで利用しています。以前は他システムを利用していたのですが、賃貸のような短期工事案件のやり取りがしにくく使いにくい部分があり、じぶんページの導入を決めました。
具体的には工事の発注から完工までのタスク管理に利用しており、工事会社様には対応日などを入力していただいています。チャットなどのやりとりも基本的にはじぶんページ内のコメント機能を使うようにしているので、工事会社様とコミュニケーションにおいても情報の集約が出来ています。

クラウドPBXはkintoneの顧客情報と連携することで、過去の対応履歴がポップアップで確認できるので、トラブル時の対応もスムーズに行えるようになりました。

じぶんページとは?〈https://www.jibun-apps.jp/jibun-page/

kintoneアカウントがない顧客や会員、取引先に、kintoneと連携したマイページを提供するサービスです。外部共有する条件を選び、レコードの閲覧・作成・編集・コメントもしてもらうことができます。

レポトンシリーズとは?〈https://u.repotone.com/

レポトンシリーズはkintoneで管理している見積書、請求書、各種報告書などあらゆるデータをPDFやExcel形式帳票に出力するプラグインです。PDFまたはExcelでテンプレートを登録し、kintoneにあるレコードのフィールド情報をマウスドラッグで簡単に指定することができます。誰でも簡単にお好みの帳票をデザインすることが可能です。

〈レポトン公式サイトより引用〉

インタビュアー

ありがとうございます。kintoneの導入前後で売上に変化はありましたか?

新谷様

はい。工事の売上は目標対比110%で、昨対は127%でした。

実はここ2年くらい工事売上に関しては毎月目標未達が続いていたのですが、2023年1月から今月まで、大幅に連続達成することが出来ています。スピード感を持って工事が出来るようになったことで、提案ロスの削減と提案単価の増加が可能になり、売上アップに繋がったのだと思います。

インタビュアー

素晴らしいですね。kintoneに集約されたデータはどのように活用されているのでしょうか?

新谷様

まだ活用段階には至っていないのですが、これまで担当者ごとの管理になっていたオーナー様との面談履歴などをkintoneに蓄積することで、今後不動産の購入時や売却時に活用できると考えています。

また、退去から入居にかかった空室期間も物件ごとに把握できるようになっているので、なるべく短い期間で入居していただくための募集条件の変更やご提案ができますし、お客様情報ではお客様の基本情報に加えてトラブル管理も行っているので、次のお部屋探しに来られた際の接客時の品質向上にも役立つと思います。

※原状回復完了期間のグラフ。月ごとの原状回復完了までの平均日数を棒グラフで表現している。
インタビュアー

ありがとうございます。情報共有が可能になったことで社内全体としての変化はありましたか?

新谷様

情報分析をするようになったので改善点が分かりやすくなり、KPIも立てやすくなりました。導入前まではうまくいっていなかったところを、kintoneを使ってうまくできるようになる中で見えてくる新たな課題もあるため、現状に満足することなく課題感を常に感じられるようになったのがよかった点だと思います。

インタビュアー

kintone導入前のKPIはどのように管理されていたのでしょうか?

新谷様

部署によって異なっていました。毎日進捗管理が出来ている部署もあれば、四半期ごとの面談の時でないと進捗が分からない部署、KPI管理が出来ていないという部署もありました。しかしkintoneを導入することで、全社間でリアルタイムで売上管理や案件進捗の確認ができるようになりましたので非常に効果があったと思います。

※月別スタッフ別リフォーム売上のグラフ。積み上げ縦棒グラフで工事分類の詳細まで可視化できている。
新谷様

これまで数値やKPIは各部署に確認しなければ分からなかったのですが、営業部門やお部屋探しをするリーシング部門、管理業務や入居対応を行う部門の数値は全てリアルタイムで見れるようになったので、営業戦略も立てやすくなりました。

数値を見える化するにはデータの入力が必要になりますが、特にオーナー様への提案状況の進捗など属人的になりがちな部分は力を入れてアプリを作ったので、工数や時間はかかりましたが、数値の見える化が出来てきているなと実感しています。

※オーナー管理アプリの関連レコード一覧。他アプリに入力されたオーナーとの接点が参照される。
インタビュアー

ありがとうございます。カスタマイズを進める上で意識されたことはありますか?

新谷様

はい。仕組みの部分でいくと「一気通貫でkintoneで情報管理を実現する」という目標があったので、まずは現状の業務フローを理解する必要がありました。これまでも部署ごとや業務ごとにはあったものの、一気通貫した全体の業務フローがなかったので改めて作成しました。

部署を横断し、どこからどこに情報が流れているのかを把握することで、フロー上での無駄を発見してkintoneをカスタマイズすることで改善することもできました。

kintoneはカスタマイズがしやすいので、どんどん新たな機能を追加したりアプリを作成したりすることが出来ますが、kintoneを作ってから業務をkintoneに合わせに行くと、なかなか入力が進まなかったり浸透しにくいと思います。

ですので、まずは業務フローを整理し、整理した業務フローに対してkintoneを合わせに行くという順番が重要だと感じました。

今後kintoneで実現したいことを教えてください

新谷様

蓄積した情報を活用して、営業支援ができるようにしたいです。特にオーナー様の情報を集約できるように充実を図っているので、オーナー様への提案の質の向上に取り組んでいきたいと思っています。

最後に、今からデジタル・DX化を進めようとしている企業様に向けてメッセージをお願いします!

新谷様

何かを変えるとなれば社内での反発もあると思いますが、まずは信じてやりきることが大切だと思います。

そしてDX化は「何のためにDX化していくのか」という目的を明確にすることが必要です。kintone導入前は、良いと言われたものを良さそうだなと思って、部署ごとや業務ごとの判断でアプリを導入していました。一時的には業務効率化を図ることが出来ていたとしても、長い目で見ると逆に工数が増えていたのではないかというところもありました。

そこで「情報を集約、共有し、活用する」という目的を明確にしたことで、kintoneの導入、カスタマイズが進んだのだと思います。あくまでもkintoneは目標達成のための手段に過ぎないので、手段を目的化しないことが重要です。

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