導入事例

Case

船井ファストシステムを
導入いただいている企業様へのインタビュー

kintoneで案件管理の徹底と社内コミュニケーションの効率化により経営数値の可視化を実現。新規顧客開拓ルートにも成功した事例

公開日:2024年08月29日
About 司法書士佐伯啓輔事務所 様

司法書士佐伯啓輔事務所は、神奈川県新横浜駅すぐにある司法書士事務所。 遺言書作成や相続手続き、不動産登記等のサービスを展開しており、2023年8月よりkintoneを導入。 今回は代表司法書士である佐伯啓輔先生にお話を伺った。

kintone導入前の課題、導入を決めた理由を教えてください

佐伯先生

kintone導入前は、独自のシステムとスプレッドシートを利用して管理していました。独自のシステムは、不動産の決済(売買)案件に関する基本情報を管理することを目的にしており当事者情報や決済日などを入力していたのですが、より詳細な情報や案件ごとの進捗管理、書類作成・戸籍収集などの細かいタスク管理ができませんでした。この独自システムでできなかったことをスプレッドシートを利用して管理していました。
また、案件ごとに作成する契約書などの紙の書類は、ファイリングして事務所の棚で保管をし、タスクが発生した場合は、そのファイルに付箋を付けてタスク依頼をしていました。
幣所ではシフト勤務で働く所員さんも多くいるので、案件担当制を取ってしまうと期日までに間に合わなくなってしまいます。誰かがいないと案件処理が進まないということがないように、1つの案件に6名ほどで対応するようにしているので、案件の進捗管理や、タスク管理がとても大切なのですが、紙ファイルに貼ったタスク依頼の付箋がはがれてしまい「依頼した・されていない」というコミュケーション問題が頻繫に発生し、案件の進捗に遅れが出てしまうことがあったので、管理方法について見直したいと考えていました。

インタビュアー

ありがとうございます。他事務所様では1案件あたり3〜4名で対応されていると聞いていますが、貴事務所は平均よりも多い人数でご対応されているのですね。

佐伯先生

はい。そんな時に船井さんから「司法書士業務効率化のための最新DXセミナー」のDMが届いたので、セミナーに参加しました。そこで司法書士の業務に特化したkintoneがあることや、その中で業務ごとの工程管理が出来ることやタスクをやり取りするボールという概念を知り、弊所で起きているコミュニケーション面の課題を解決できるのではと思い導入に至りました。

kintone導入後、社内での入力浸透や活用促進で行った取り組みについて教えてください

佐伯先生

いきなりkintoneへ入力開始をするのは難しいと思ったので、まずはkintoneへの入力に慣れるために指示書のような役割を持つオーダーシートというものを作成しました。
「オーダーシートのこの部分はkintoneのこのフィールドになる」というような使い方をしていたのですが、今振り返ると、この取り組みが活用促進のベースになったと思います。

※オーダーシートの一例。「確認事項・伝達事項」欄とkintoneの「書類作成指示書」をリンクさせている。
インタビュアー

kintone導入にあたって、事務所内で反発等はありましたか?

佐伯先生

目に見える反発はありませんでした。ゆくゆくは工程管理までkintoneで行いたいという目的もありましたので、まずはkintoneに慣れてもらうということが大前提だと考えていました。せっかく導入したのに浸透しないということは避けたかったので、分からないところはオーダーシートを使ったり、都度相談を受けたりしながらゆっくりと着実に進めていました。
また、毎週水曜日にはkintoneを使った会議を行っています。「今週の連絡予定」という一覧を確認しながら、案件ごとに「誰が・いつまでに・何をする」というタスクのボールのやりとりを確認しています。会議の大きな目的は案件ごとの進捗確認ですが、kintoneの一覧画面を見ながら行うので入力漏れやその原因もその場で確認することができます。

※「今週の連絡予定一覧」で案件ごとに「誰が・いつまでに・何をする」というタスクの進捗を確認している。
佐伯先生

この一覧では、ボールを持っている担当に色がつくようになっているので、黄色が多いときは事務所内の作業がひっ迫する可能性があること、水色や紺が多いときはお客様や外部の方からの連絡待ちということが分かるので、視覚的にも分かりやすいです。
kintone導入前には、案件ごとに「誰が・いつまでに・何をする」というところまでの管理ができていなかったということもあり、案件進行が遅れてしまい、お客様側から案件進捗に関するご確認のご連絡をいただくこともあったのですが、この一覧画面を見ることで一目瞭然になったので、お客様からのご連絡が減り、我々からのご連絡やアクションを増やすことができるようになりました。

kintoneを導入してどのような効果がありましたか?

佐伯先生

様々な効果があるように感じますが、一番はこれまで感覚で把握していた進捗や内容が、数値として見える化されたことだと思います。幣所は、これまでのほとんどの案件が紹介案件だったのですが「どの税理士からどのくらいの案件を紹介いただいたのか」というのは、なんとなく感覚で感じている部分が多くありました。kintoneを導入したことで、税理士ごとの案件数・売上や商品単価等も数値で見えるようになったので、新しい視点が生まれました。

※月別受託件数の縦棒グラフ
※【今年受注分】案件進捗状況の円グラフ
※月別・紹介ルート別反響件数 / 受注金額のクロス集計表

佐伯先生

数値で見るということがいかに重要なのかが分かるようになったことで、意識も変わりました。案件によっては長期案件になることもあるので、売上が計上されるタイミングを把握しておくことは非常に重要になります。現在は、受任時・請求時・入金時と3段階で売上を確認できるようにしています。中でもKPI表はお気に入りで、よく見るようになりましたね。

※KPIで確認している指標の一部

インタビュアー

ありがとうございます。事務所内のコミュニケーションはいかがですか?

佐伯先生

はい、所内のコミュニケーションについても大幅に改善されました。現在は付箋を使ったやりとりを卒業し、コメント機能を活用しています。変更履歴の確認もできるので、導入前のコミュニケーションにおける課題は解決していると思います。
また、反響情報をkintoneに入れることでデータの検索が容易にできるようになったので、お客様からのお問い合わせに対してもスムーズに対応できるようになりました。
「感覚」や「紙」からの卒業で、意識変化や業務時間の短縮やコミュニケーションがうまく図れるようになったので、紹介案件だけではなく相談会等を開くことができるようになり、相談会経由での受任も増えてきました。kintoneの定着ができていなかったら相談会などを開催する余裕もなかったと思うので、本当にいいタイミングで導入できたなと思います。

利用している連携システムを教えてください

佐伯先生

現在は反響管理アプリにBoxを連携させています。以前は案件管理アプリと連携をしていたのですが、案件に至る前の段階でいただく書類も多くあるので、反響が来た時点でお客様ごとのフォルダが生成されるようになっています。
相談表など、受任前の段階から紙でのやりとりが非常に多くあるのですが、その紙を管理するために、受任に至っていない案件の紙ファイルや進行中の案件の紙ファイル、過去に完了している案件の紙ファイルとたくさんの紙ファイルがありました。現在は、進行中案件は紙ファイルでもすぐに確認できるようにしていますが、紙ファイルが手元になくてもkintone上で確認することができるのがとても便利で重宝しています。

今後、kintoneで実現したいことを教えてください

佐伯先生

連携システムのレポトンを導入したいと考えています。多種多様な帳票を作成したり、出力することが多いので、分割協議書などはレポトンで出力できるようにしたいです。
最終的には工程管理をパワーアップして、工程ごとの時間を集計できるようにしたいです。
そのためには業務マスタの見直しが必要になるのですが、例えば「遺産整理」という分野でも5パターンくらいに分けられるほど業務を細分化できるところがあるので、不要な部分は削り、必要な部分は付け足しながら幣事務所仕様の業務マスタを完成させたいですね。

※業務マスタ/「遺産整理」業務の細分化

最後に、今からデジタル・DX化を進めようとしている企業様に向けてメッセージをお願いします!

佐伯先生

士業と呼ばれる業態の中でも、特に司法書士はシステムに慣れている人が少ないように思いますが、実際に導入して使ってみると面白いなと思いました。こういう風にすると、こういう効率化ができるんだという楽しさも感じています。数値化することによってモチベーションの向上につながったり、これまでの感覚でやってきたときとは違った世界が見えるようになりました。私もまだまだ道半ばではありますが、一緒に頑張っていきましょう!